アイスクリームの歴史（日本編）

アイスクリームは、日常的に食べられるものになっていますが、日本人がアイスクリームを初めて食べたのは、1860年、幕末。それより前は、氷菓を楽んでいたのだとか。

アイスクリームの歴史を簡単にご紹介します。

アイスクリームの歴史

氷菓を楽しんでいた時代

日本書紀によると、（374年）に現在の奈良県天理市というところで、「冬に切り出した氷を地中に貯蔵する氷室で、夏に水酒に浸して用いる」ものを、仁徳天皇が召したとのこと。

続いては、平安時代。清少納言が枕草子の中で、「削った氷に甘づら（汁が甘い）のシロップをいれて、新しい金属の器に入れたもの（現代語訳）」と、かき氷みたいなものを楽しんでいたとの記載があります。

アイスクリームとの出会い

1860年の幕末、渡米した使節団が、アメリカで初めて食べたのが、アイスクリン。

その後、1869年に、町田房蔵が、横浜馬車道通りに「アイスクリン」店を営業しています。ただお値段は金２分（女工の月給の半分ほど）で大変高価な商品でした。

レストランで販売開始

1875年になると、東京麹町の洋菓子店「開新堂」でアイスクリームが販売されます。

その後、1888年に京橋の風月堂が、1895年に銀座の「函館屋」が、1899年に「富士家」、1902年に「資生堂」と、今も有名なレストランが、アイスクリームをメニューに加え始めた。

その後、1911年には、帝劇の売店でも販売されるようになり、市民にも徐々に広まりました。

アイスクリーム工場ができ始める

1920年に富士食品工業が、東京の深川に工場を建設。

当時のアイスクリームは、カップ入りではなく、四角い長方形の箱に入ったブリックアイスクリームでした。

ただ、当時のアイスクリームは、シャーベットのような味わいだったので、乳脂肪分が多いアイスクリームは受け入れてもらうのに時間がかかったとのこと。

19238年には、雪印乳業が、「チョコレート・ストロベリー・バニラ」がセットになった雪印ブリックアイスを出し、大変な人気になりました。

太平洋戦争で製造が中止、戦後にアイスキャンディが出現

1941年に太平洋戦争が始まり、アイスクリームは贅沢品となって、製造を激減。

戦後、「水にサッカリンなどの甘味料と香料を入れ、割り箸をさして凍らせただけのアイスキャンディ」が販売されます。

ただ、原始的な製造なので、不衛生な状況でお腹を下すことも多かったのだそう。食の衛生管理の法律が作られ始め、アイスクリームでも、1951年に、アイスクリームの区分の法律が作られました。

工場が復活し、アイスキャンディが廃れる

雪印乳業が、1946年にアイスクリームの製造を再開。1952年には、脂肪分３パーセントのアイスバーを販売し、アイスキャンディの全盛期が終了。

その後、フタバ食品や森永乳業、江崎グリコが市場に参入。1955年には、協同乳業が毎時間約3000本作れる製造工場で、当たり付きくじの「ホームランバー」を作り、大人気になります。

小売店での販売が始まる

1950年ごろから、魔法瓶ストッカーという、アイスクリームを保存する機器を無償で貸し出す方法で、全国の約６割の小売店でアイスクリーム販売を行うようになります。

その後の高度経済成長で、アイスクリームの市場も拡大。1970年のアイスクリーム市場は、736億円に。１個50円のアイスクリームなので、約20億個ほど売れていました。

ロングセラー商品が登場

1955年くらいから、徐々に、ロングセラー商品が発売されるようになってきます。

製造年	アイス名	販売会社
1956年	チョコモナカ	森永製菓
1962年	アイスまんじゅう	丸永製菓
1963年	ジェットコーン	江崎グリコ
1973年	あずきバー	井村屋
1976年	ピノ	森永乳業
1981年	雪見だいふく	ロッテアイス
1981年	ガリガリ君	赤城乳業

その後、1984年に、ハーゲンダッツジャパンが参入。ミニカップタイプのプレミアムアイスクリーム市場が拡大した。

コンビニエンスストアの出現で低迷

1971年、日本で初めてコンビニエンスストアができ、1988年には急激に店舗数が拡大。アイスクリームを販売する小売店の激減になり、一時アイスクリーム市場は低迷。

コンビニエンスストアでは売れ筋商品ばかりを販売する形になったと同時に、ペットボトルの清涼飲料や、コンビニデザートなどが増えたのも要因の一部ではないかと考えられています。

V時回復

2003年になると、アイスクリーム市場は、コンビニエンスストアでの販売量を順調に回復。2008年には、商品の品質のレベルアップを図り、価格改定を行います。

1974年にアイスクリームだけを販売するアイスクリームショップ「サーティワン」も生まれました。